黒川晃一さん
(ふわふわイーレ)
【働き方】常勤 週休2日
「ふわふわイーレ」で働き始めてどのくらい?
2011年6月くらいから登録ヘルパーとして働き始め、その年の12月には常勤となり、今10年目を迎えました。
もともと、福祉の仕事はしていなかったんです。前々職を早期退職し、その後は、母が通っていた整体院で整体師になりました。
自分自身も身体の不調など、ずっと気になっていたこともあり、その整体院に通っていたのですが「ここで働かないか」と言われまして。ただ、正直、整体師という仕事もなかなか生計を立てていくことが難しく、ヘルパーの資格を取った感じです。
「ふわふわイーレ」で働くことを決めたきっかけは?
勤めた年の初めに、ヘルパーの資格を取りました。友人の勧めもあり、すぐに福祉業界で働かず、ハローワークの研修を受けながら求人探しをし始めました。ハローワークでは簿記やパソコンスキルの勉強をしながら、少しずつ探し始めたときに、NPO法人湘南障害児者を守る会まつぼっくりの求人を見つけたんです。
ハローワークの研修は9時30分~15時くらいまでの日中帯でした。なので、その前の時間か夕方に働けそうな場所を意識していたところ、ここの求人は、そのスタイルで働けそうだったのでやってみようかなと思いました。
求人の決め手としては、職場が近かったというのが大きいです。そのときの事務所は菖蒲沢でしたが、十分近かったので。ヘルパーの資格を活かしたいと思っていたこと、ヘルパーの実習で高齢の方とは接したけど、障がいの方とは接したことがなかったので、そこも体験してみたいと思いました。
親戚に障がいが少しある方はいたのですが、仕事としての関わりではないので、仕事として関わってみたいと思ったのがきっかけです。
働き始めたときの印象は?
働き始めの頃は、比較的コミュニケーションの取りやすい方を担当することが多く、基本、近くで見守るような支援だったので、「この仕事は難しい」というようなカルチャーショックはありませんでした。
しかし、その後、高次脳機能障がいの方などを担当するようになりました。それで初めて、今までの見守りとは違う関わりを知りましたし、きちんと対応できないと利用者さんに不快な思いをさせてしまうということを体感したんです。私の意識していない部分で、利用者さんを困らせてしまう感じです。
この仕事を続けるのは難しいかも知れない…と私が思った頃、スタッフの皆さんが一緒に考えてくださり、千坂さんから「笑顔が、利用者さんにとっては、笑われていると思ってしまうこともあるみたいだからマスクをしてみたら?」とアドバイスを受け、やってみたら関係が良くなったというエピソードがありました。
その本当の理由は分かりませんが、工夫をすることで、いろいろな関わりが持てるのだと知ったんです。仕事に対して、後ろ向きになってしまっていた私の気持ちが、そこで平らになり、今に至るまで長く続けられたって感じです。
仕事内容は?
移動支援がメインですね。他に、ご自宅に入らせていただく居宅での支援もやっています。
割合でいうと、半々くらいでしょうか。移動支援のほうが、利用される人数も多く、支援時間も長いのですが、居宅のほうが利用者さんの利用頻度が多いです。
どちらも緊張感はあります。居宅はご家族もいるので、利用者さんだけでなく、ご家族との関わりもあるので、緊張するんですよね。独居の方はコミュニケーション取れる方も多いので、それもご自宅の中で一緒になるとなんとなく緊張感があります。
移動支援の場合は、暑いとか寒いとか雨のときとか、天候に関わらず支援がおこなわれるという大変さがあったりもします。
この仕事の良さは?
時間の融通がつきやすいことです。職場が自宅から近いのも、私の場合は大きくて、そのおかげで、続けてこられたように思います。
シフト制での訪問ということがあり、必ず行かなくてはいけないという支援もありますが、隙間の時間で家庭のことをやることもでき、良かったです。場合によっては5~6時間あいだが空くこともあるので、プライベートとの調整もつきやすいんです。
このリズムは慣れないと意外と疲れるかも知れませんが、慣れてきたり、自分の生活リズムに合ったりすると結構いいですね。
さらに今回のコロナ禍で感じたのは、いろいろな職業が影響を受ける中、この仕事に関しては、職を失うということがなかったので良かったです。あと、やはり職場が近いというのはコロナ禍での良さでもありました。また、一対一の支援なので、より一層、感染予防への心がけにも力を入れることができました。それも仕事を通して身についたことのように思います。
心掛けていることは?
利用者さんに合った声掛けを大切にしていると思います。もともと私の声は、やや通りにくいということもあり、意識してトーンをあげて届くようにしています。無理をするほど意識しているわけではないけど、自然と調整していることがありますね。
もともとよく喋る方ではないので、いっぱい声を掛けてほしい利用者さんの場合は少し頑張ろうと思う感じです。それでも、つい油断をすると話さなくなってしまい、利用者さんに退屈な思いをさせているかも知れません。利用者さんが何げなくこちらを見てきて、「あ!しまった、つい話していなかった」と、ハッとすることがあったり。
中には話しかけてほしくない利用者さんもいまるので、いつも、どのくらいがいいのかなってバランスを考えます。話してないけど、これでいいのかな?話し過ぎちゃってるかな?平気かな?とか…このくらいがちょうどいいと明確に分かるわけではないので、いつも難しいです。明らかに嫌な顔をされたときは、「あ…(笑)、すみません」ってやっていますね。利用者さんの表情を見るというのはすごく重要です。
ヘルパーという仕事の楽しさは?
いろいろな利用者さんがいて、中には良い表情をそこまで出さない方もいます。その方の笑顔が支援中に見えると「あ、良かった」とホッとするような想いです。自分の支援が良かったという「ホッ」ではなく、その方にとって気持ちいい時間になっているんだということを嬉しく思うような「ホッ」ですね。
いつもつらそうな表情が多かったりすると、より一層、こんな気持ち良さそうな表情をすることもあるんだ…リズムが良くなってきているのかなって思う感じです。
あとは、利用者さんから気づかされることが多いですね。障がいがあるから特徴をもっているとか、もっていないとか、そういうことではなく、みんな同じ感情や特徴をもっているのかなと。それが障がいによって、表現として表に出やすくなっていたり、出にくくなっているのかなって思うんです。
たとえば、最近「あおり」という言葉を聞きますよね。利用者さんの中にも、「あおり」とは少し違うのかもしれないのですが、イライラされたときに、前の方にぴったりついていく様子があったりして、そういうのを見ていたら、特定の誰かに特別な感情や特徴があるのではなく、誰もがイライラするとそういう表現になる場合もあるのかなって思ったんです。
根本にみんなが同じようなものをもっていて、それが大きく出たり、うまく出せなかったりするのかなと。関わってくる中で、障がいはあるけど、基本的にもっているものはみんな同じなのだと思うんです。ヘルパーという仕事は、自分を見つめ直しますし、「人間」というものに改めて気づかされる仕事だと思います。私の場合、ここで特に自閉症の方と関わって気づかされたように思います。
最後に教えてください!
あなたの「My Smile」は何ですか?
「音楽」が好きです。最近はコロナのせいで機会が減っているのですが、コンサートなどもよく聴きに行くことがありました。クラシックメインでいろいろな音楽を聴いていて、日本だとあまりメジャーではないところを追いかけていますね。
西の音楽が結構好きで、「ふちがみとふなと」とか気になっていてチェックしようと思っていたら、コロナ…って感じでした。海外のアーティストでも、やはりメジャーではあまりなく、チェコ出身のアバンギャルドなバイオリニストでもあるイヴァ・ビトヴァさんが好きでした。
実は楽器もやっていて、ちょうど、ここで仕事を始めたころからアコーディオンを始めて、練習を頑張っていました。4~5年、先生について練習してきています。楽器を始めてからは、聞くよりも練習する機会が増えていった感じです。取り組み始めた曲が弾けるようになってくると、スマイルですね。